top of page

外国人技能実習制度と特定技能について

​技能実習制度の目的と外国人労働者受け入れの必要性​


​技能実習法の目的は、国際協力を通じた途上国への技能等の移転を促進することにあります。しかし、現実には国内産業の人手不足解消にも寄与しており、外国人労働者の受け入れが「専門性」から「必要性」へと変化している現状が浮き彫りになりました。


​現状と深刻な課題

​残念ながら、技能実習制度の現場では労働基準法違反が多発しており、調査対象事業場の70.8%で違反が認められるという厳しい現実があります。この状況を受け、外国人労働者の適正な受け入れに関する新たな枠組みの整備が急務であることが強調されています。

​外部監査の重要性

​監理団体による技能実習の適正な実施を担保するため、外部監査人による監査が非常に重要です。外部監査の実施は、監理団体の透明性と信頼性向上に不可欠な役割を担います。


​法令違反と厳格な罰則

​法令違反に対する罰則は厳格です。

​監理団体が法定帳簿を備えない場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

​技能実習計画の認定申請に虚偽があった場合は、関係者全員が入管法違反で摘発されるリスクがあります。

​保証金の徴収や不適切な契約締結といった行為は、明確な技能実習法違反です。


​実習の適正実施と労働条件の遵守

​技能実習計画の認定と変更

​技能実習を行うには、技能実習計画の認定が必須です。

​計画には実施事業所の名称や所在地を正確に記載し、主務大臣の認定を受けなければなりません。

​計画に変更が生じた場合、原則として変更認定が必要です。例えば、新たな職種・作業の追加、目標や実習期間の変更、監理団体の変更などが該当します。


​技能実習生の労働条件

​実習生は労働者として保護されます。

​報酬は日本人と同等以上である必要があります。

​残業の管理、特に割増賃金の支払いは厳守事項です。

​時間外労働は原則として想定されていませんが、やむを得ない場合は変更認定または届出が必要です。月80時間以上の延長は変更認定が必要になります。


​監理団体の適切な業務運営

​監理団体には、適正な業務運営が求められます。

​監理費の適正な徴収と経費の明示は義務です。

​実習生の帰国旅費の負担も監理団体の義務とされています。

​名義貸しは禁止ですが、入国前後の講習など一部の業務は他の適切な者に委託可能です。


​制度の未来と特定技能との関係

​短中期的には、技能実習から移行できる移行対象職種の拡大が見込まれています。

​中長期的な視点では、アジア各国との経済格差が縮小する中で、新たな在留資格である特定技能との関係がより重要になっていくと予測されています。

最後に

技能実習制度は単なる人手不足対策ではなく、国際貢献という目的に立ち返り、適正な運用と法令遵守が強く求められています。特に、実習生の人権保護と支援、そして法令違反に対する厳格な罰則について深く理解することが、申請取次行政書士としての責務だと感じております。

 
 
bottom of page